著作権の誕生と寿命

著作権の誕生

著作権はいつ生まれるのか?これは簡単です。作品ができたときです。著作権の場合は、特許は意匠と違い登録しなくても権利自体は発生します。(無方式主義) ただ、発生するからといって、必ず保護されるというものでもありません。そのために著作権登録という手続があります。

著作権の寿命

パブリックドメイン

著作権にも寿命があります。源氏物語を原文のまま朗読するのであれば誰からも権利を主張されることはありません。シェークスピアの作品も形をかえ、様々な解釈がされて世界中で上演されていますが、著作権料を誰かに払う必要はありません。バッハやベートーベンの作品は誰もが自由に演奏することができます。これは著作権の寿命がすでに終わっているからです。こういう作品をPD=パブリック・ドメイン(公有)といいます。

著作権の寿命は何年

それでは著作権の寿命は何年でしょう。この年数はその国の法律によって定められます。現在の日本の法律では映画を除いて50年が基準になります。世界中のどんな作品であっても日本国内にあっては、日本の法律が適用されます。

T P P で70年にすることが合意されました。今後法改正が行われると思われます。
  • 個人が保有する著作権=死後50年(死亡の翌年から計算します)
  • 共同著作物=最後の著作者の死後50年
  • 法人が保有する著作権=発表後50年
  • 映画=発表後70年

この基準を有名作品に照らし合わせて、具体的に何がPDで何に権利が残っているかをみてみましょう。

音楽

春の海(宮城道雄 1956年没)

毎年お正月に聞こえてくる琴と尺八のあのメロディーです。没後から数えますから1957年から数えて50年、2007年に寿命が切れました。「そんな最近!」と思われた方も多いと思います。それまでは演奏するためにはJASRAC(日本音楽著作権協会)に届出、著作権料の支払いが必要でした。

木星 快楽をもたらす者(ホルスト 1934年没)

組曲「惑星」の4曲目です。外国の作品は一部戦時加算という少々面倒なものがあります。これは第二次大戦前から終戦までの間、著作権が適切に扱われなかったとして、戦勝国の作品に限り約10年著作権を延長するという取り決めです。戦時加算については下記に記載していますので参照ください。その戦時加算を加えても94年にPDになっています。ただし、平原綾香の「ジュピター」はだめです。新たな詞がつけられ、編曲がされていますから、あの詞をつけて演奏することはできません。こういう作品はいくつかあります。他に有名どころで、エルビス・プレスリーの歌った「ラブミーデンダー」、Simon & Garfunkelの「コンドルは飛んでいく」などがそうです。

映画

「蒸気船ウィリー」

ミッキー・マウスが登場した最初の映画です。1928年に公開されました。1970年に著作権法が改訂されて著作権保護期間が延長されています。それ以前は38年でした。ですが話をわかりやすくするために、現在の法律に照らして、なおかつ戦時加算という面倒くさい要素を一旦廃除して考えてみます。戦時加算については下記に記載しています。参考にしてください。映画の著作権保護期間は発表後70年ですから発表の翌年から数えて50年目の1999年に寿命がきたと考えます。

さてそれではミッキーマウスの原画はどうでしょう。これは普通に考えればウォルト・ディズニーが亡くなった翌年、つまり1947年に亡くなっていますから、翌年の48年から50年。1998年に寿命がきたことになります。

それでは誰もがミッキーマウスの原画を使えるのでしょうか?残念ながらこれは商標という別の権利で守られていますので、そうはいきません。黙って使えばとんでもないことになりますから、努々おきをつけください。

注1:戦時加算=第2次大戦中に著作権保護がまともに行われなかった期間があるということで、戦勝国に加算がされています。国によって違いますが、おおむね10年の期間が加算されています。ちなみにアメリカ、イギリス、フランス、カナダなど主要国の場合の加算日数は3794日です。この要素を加えると更に10年延長されることになります。蒸気船ウィリーは2009年。

注2:1970年の著作権法改正前は38年でしたが、1928年の翌年から38年目は1966年、そこに戦時加算を10年として加えると、1976年。その時点ではすでに著作権存続期間は50年に改正されていますから、2009年に著作権が切れたと考えられます。

小説

小説の場合は共著でない限り個人の没年の翌年から50年で著作権は寿命をむかえます。インターネット上の電子図書館「青空文庫」で無料で読むことができるのはこういった作品です。ここ数年は立て続けに巨匠の作品がPDとなっていますが、TPPでの法改正があるため、しばらくは一息といったところでしょうか。ごく最近著作権が消滅した作家をあげておきます。

谷崎潤一郎

1965年没、耽美派の巨匠です。春琴抄、細雪、卍、鍵などの名作はすでにパブリック・ドメインです。

江戸川乱歩

1965年没、日本の推理小説の巨匠。怪人二十面相など児童文学でも有名です。

いずれも2016年1月1日に著作権が切れています。山本周五郎(1966年没):「樅ノ木は残った」「赤ひげ診療譚、壺井栄(1966年没)「二十四の瞳」はTPPの影響で著作権が継続される可能性が高いです。ただすでに切れてしまったものを復活させることはないため2016年中に法改正が行われず、または施行されなければPDとなります。