著作者と著作権者

著作者と著作権者は同じ人とはかぎらない

著作者、つまり作品を作ったひとと、権利を持っている人は必ずしも一致しません。むしろ、違っていることの方が多いのです。

著作者とは

作品を作った方。つまりクリエーター自身をさします。

著作権者とは

著作者から権利を譲り受けた方をさします。わかりやすいところでは、出版社などが著作権者です。

著作権が譲渡される仕組み

著作権のうち、財産権と言われる部分は自由に譲渡することができます。質権を設定することもできますし、抵当にいれることもできます。商業ベースにのった場合、著作権は譲渡されていることが多いと思われます。

音楽の場合

一番わかりやすいのは音楽です。タイトルとともに作詞者、作曲者、現編曲者の記載がされていますが、この方たちが直接著作権を管理、行使するわけではありません。楽曲が売れていくためにはレコード会社、マスコミなど多くの人がかかわります。番組で使われたり、映画やCMで使われるためには、そういう業界への売り込みが必要です。実際に楽曲が試用されれば、その資料を分配する必要があります。こういう作業をアーティスト自身がするのは大変です。そこで著作権を譲渡して、自分はその収益の中から分配をうけます。音楽出版社と呼ばれる会社がこの著作権者にあたります。
実際の現場では更に、かかわった複数の会社が著作権を共有していることがよくあります。つまり著作権者が二人以上いるということです。例えばレコード会社が、スタジオ代やサポート・ミュージシャンのお金をだして音源にすることで作品は世にでることができます。レコード会社がテレビ番組のテーマ曲などで使ってもらえるようにタイアップを探します。レコード会社、テレビ局は、それぞれが音楽出版社を傘下にかかえています。そこで、「それではお互い協力して楽曲をうっていきましょう」という話し合いをして、50%づつ保有するようなケースです。実際にはもっと生々しい話がされていますが、複数の出版社がついている典型的な例です。また著作権を部分的に譲渡した結果、複数の著作権者がつくこともあります。

映画の場合

映画の製作は多くの多額の資金を必要とするため少し特殊です。つまり最初から著作権者と著作者がわかれています。映画の企画をたて、資金をだした人が著作権者、実際の制作に携わったひとたちが著作者です。具体的には監督ということになると思います。
そもそも複数の出資者がいる場合、著作権者は最初から複数います。日本の場合であれば「××委員会」というような名前で呼ばれるケースです。「Always 三丁目の夕日」製作委員会のメンバーが著作権者ですが、15社がクレジットされていますので普通に考えれば15の著作権者がいることになります。(実際にどのような権利関係を構成しているかはクレジットからだけでは読み取れません)